届け故郷の思い出。暮色の風景。
- アトリエ主
- 2022年7月8日
- 読了時間: 2分
今回も、クライアント様に納めさせていただいた絵画作品について触れさせて頂きます。
大変お待たせをさせてしまいましたが、無事お届け出来て幸いでした。
また、この作品を美術展に出品したいという我がままを快くお許し下さり、そのうえ会場にもわざわざお運び頂き、本当にうれしかったです。
重ねて感謝申し上げます。ありがとうございました。
今回のご依頼は、故郷の、特にご実家がたたずむ秋の風景画を。ということで、現地取材も含め制作させて頂きました。
大変由緒あるお里にご縁が出来て、本当に素晴らしい機会を頂きました。
難しいと感じた点は、「同じものを2つ描く」ということにありました。
クライアント様のほかに、中央でお暮しになる”ごきょうだい”の手元にも作品が行くというお話でした。なので、2つの絵画が、分け隔てのない同質の絵画でなければならないと感じました。
同質の。と申しますのは、人間の手によるものですから、2つの絵は構図や色調を同じにしたつもりでも明らかに違うものになります。そこを、どちらの絵画にも、勝る部分・劣る部分を作らないようにする。という意味になります。
私は幸い、アトリエでフィニッシュさせる作家ですので、この点にはじっくり挑めたと存じます。片方に優れた表現が発現した場合、もう片方にもそれを施して、その反復によって、同質の2作品がたしかに生み出されたと自負しております。
秋の風景というご注文でしたが、受注時には、里は晩秋となっていました。周囲はすでに枯れ色が進んでおりましたので、赤の映える日没を狙って取材いたしました。
日の高いうちから現地入りして、スケッチなどを進めておりましたが、あいにくの小雨が降ったり止んだり。それでも、灯ともし頃になると包み込むような赤い帳が下りてきました。
湿度を含んだ秋の、独特の暮色でした。
なんとかその色合いにチャレンジしたしたつもりです。クライアント様をはじめ、遠くにお住いのごきょうだいにも、里の秋色が届きますように願っております。
余談ではありますが、当該美術展には、この絵画と、もう一つ、渓谷の絵画の計2点を出品致しました。
渓谷の絵画は、それこそ奥入瀬のような構図も色彩もバッチリな作品を出品しましたが、来場者のほとんどの方々は、何気ない秋の里を描いた方をお褒め下さいました。
何か伝わるものがあったということでしょうか?それなら嬉しい限りです。
絵画は、描く方も、見る方も、本当に奥の深い世界に存じます。
アトリエ主でした。
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