伯耆の作家は大山に始まり・・・(3)
- アトリエ主
- 2023年4月14日
- 読了時間: 2分
更新日:2023年4月20日
弓ヶ浜からの大山の眺望は、米子中心域に近くなるほど見通しが良くありません。
だからといって、境港にアングルを寄せるようなことをしても、クライアント様の心情としては、馴染んだ風景から遠ざかり寂しい気持ちになるでしょう。
サイクリングコースが市街に入り込むあたりで、砂浜に出てみます。想像通りに青松林で大山の眺望が阻害されてしまいますが、あくまでも見通しの問題だと気付きます。
本来、標高1700メートル超を誇る山容は、松林の樹高ごときで視界を遮られることはない。望遠レンズのような効果を用いれば、海岸からの描写が十分可能であるばかりでなく、松林が象徴的なポイントになることがわかりました。
早速、海岸線と松林、ちょっと打ち捨てられたようなボートハウスと、何者かがかき回したような砂浜をスケッチ。そして、かねてより確保していた大山スケッチをはめ込んで、エスキースが完成しました。
夜明け前の紫がかった光線や波頭。七分の雪と、観天望気を悩ませる複雑な色合いのスカイラインを目の当たりにし、季節や時間を読み手によって変えることができるような色にしたらどうかな。などと、現地では、さまざまな想いが押し寄せてきました。
うじうじ悩んだ、長いエスキースの時間が噓のようでした。
こうして、受注から長い時間をいただいた作品は無事完成し、展示も開始されました。少しづつ皆様のお目に留まり始めていることと存じます。
また、中央展でお付き合いのある美術出版社にお話をして、年鑑に作品が掲載される運びとなりました。添え文もクライアント様にお願いしました。まもなく店頭に並び、なお多くの方々に、大山を紹介できることとなりましょう。
クライアント様にはその冊子をお渡しした時点で、本当の「完了」になる予定です。
さて、長々と大作に向き合ってきた想いを綴らせて頂きました。
確かに注文絵画としての大作制作は、もう、生涯ないことでしょう。
振り返れば、ただでさえ希少な大作絵画に向き合う時間をいただくことが出来、本当に幸いなことでした。
大きいがゆえの、答えや、限界の無い世界・・まさに小宇宙。大作絵画制作は難しくもありますが、いつも心ときめく時間を歩めます。
本当にありがとうございました!
また、日常的な記事に戻ります。アトリエ主でした。
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